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Russian Birds

Ilyushin 62 イリューシン62





1963年に開発された4発の長距離用ジェット旅客機。英国・ヴッカース(現BAe)のVC-10に酷似したデザインで、冷戦崩壊後に当時の産業スパイが設計図を盗み出していたことが明らかになっていることから、コピーであった可能性が非常に高い。
1967年にモスクワ〜モントリオール線で路線就航しているが、クズネーツォフNK-8エンジンの燃費が悪く、当初の想定の航続性能が発揮できなかった。そこで1970年、エンジンをソロヴィーヨフD-30エンジンに換装したIL-62Mが設計開始になり、その後の生産はIL-62Mへと移行している。
IL-62全体の生産数は276機で、「オリジナル」のVC-10が54機しか生産されなかったのと比較して、ほぼ4倍数が生産された。1980年に就航したIL-86が航続距離が短く、長距離路線に使用できなかったことと、当時の共産圏諸国での導入が多かったことがその要因である。


左:IL-62の正面
右:エンジン配置はリアに2基ずつ

ナローボディの旅客機で、機内の座席配置はエコノミークラスで3-3の6アブレストである。客室は中央部の乗降用の扉をはさんで2つに分けられており、この客室構造はツポレフ134やツポレフ154を経て、現在のロシア製ナローボディ機であるツポレフ204/214にも引き継がれている。
エンジンはリアマウントで、左右に2基ずつ4基を装備している。このスタイルは西側でもVC-10だけが採用した方法であったため、当初は余計にIL-62が「コピー」であることを印象付けることになってしまった。しかし、VC-10があまりに売れなかったことが幸いし、リアエンジンの4発機=IL-62というイメージがついている。


左:地上では尻餅防止用のバーが出る
右:IL-62のギア周り

IL-62では、後部に4発のエンジンを装備したことで、全体的に機体のバランスが悪くなるため、地上走行中は尾部から補助輪付きのバーが出て来るようになっており、離陸時には収納される。VC-10にはこのような構造がないが、胴体がIL-62の方が若干長い(約5m)ことや、当時のソビエト製エンジンの重量などの影響が考えられる。メインギアは前部1軸、後部は左右2軸ずつになっている。


左:IL-62のコックピット
右:IL-62の客室。窓には「腰巻」がある。

旧共産圏の航空会社を中心に主力機として使われたが、東欧諸国の民主化により、東欧の航空会社からは1990年代にB767やA310などの西側機と交代して退役し、その後旧ソ連諸国のエアラインからも、21世紀になって西欧諸国や日本などへの乗り入れが禁止になったため、急速に退役が進んだ。機体の老朽化も進んでおり、2008年には旅客機としてロシアのインターアビアとドモジェドヴォ航空、北朝鮮のエアコリョの3社、貨物機としてカザン航空機製造会社(KAPO)の1社が運航しているだけになったが、2008年9月〜10月にロシアの旅客便運航会社が燃料費の高騰を理由に倒産したため、現在現役を続けているIL-62は、旅客便では北朝鮮のエアコリョと、ロシアのKAPOの2社だけになってしまった。
日本でも長らく常連だった機体で、離陸する時の姿は、「ロシアの白鳥」「旧ソ連機の女王」とも言うべき優美な姿である。




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