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Russian Birds


Ilyusin 76 イリューシン76






旧ソ連の貨物専用機。どちらかと言えば軍用輸送機として開発された機体で、1967年より生産されている。最近ではペルミのПС−90Aエンジンを装備したIL-76MF型なども生産されており、ロシアではまだまだ数多く飛んでいる機体である。
見てくれからして軍用機だが、正式には軍用型と民間型が存在する。この辺は米国ロッキードのハーキュリーズと同じで、軍用型はMD、民間型はTDとなる。ただ、MD型を民間機として使っている例も存在する。


左:Aeroflot Ilyusin76TD RA-76751 (Full colour)
右:Aeroflot Ilyusin76TD CCCP-76750 (Full Colour)

  本家アエロフロートはイリューシン76を貨物機の主力として位置付けしているので、当然アエロフロートの貨物便といえばこれがやってくる。ソ連時代からやってきていたイリューシン76は、当初新潟空港のみの乗り入れだったのだが、その後成田と名古屋にも飛来するようになった。その後、アエロフロートの運航見直しで、名古屋、新潟発着はなくなり、成田発着は騒音規制の問題から、使用機材をDC-10に変更、IL-76の定期便乗り入れは消滅した。


左:Aeroflot Ilyusin76TD RA-76479 (Polar Colour)
右:Aeroflot Ilyusin76TD RA-76478 (Polar Colour+Soviet Flag)

  アエロフロートのイリューシン76には、極東アジア、シベリアの雪の中でも見分けがつきやすいように、と赤色の塗装になっている「ポーラカラー」と呼ばれるバージョンがある。主に極東アジアの運行拠点のものが多いようだが、他にアントノフ24なんかにもこのポーラカラーを纏ったものが存在する。日本への貨物便は主にハバロフスクベース(その後のダリアビア)の機材が来ていたので、このポーラカラーがよく飛来していた。


左:Atlant Soyuz Airways Ilyusin76TD RA-76425 [Based SU Colour]
右:Atlant Soyuz Airways Ilyusin76TD RA-76367 [Hybrid with C-Air]

  Atlant-Soyuzはモスクワ市の保有する航空会社で、旅客便と共に貨物運航をこのIL-76と共に、IL-96の貨物仕様のIL-96-400も使用している。旅客便は未だにIL-86を使用している他、Tu-154MやB737-300、エンブラエル120などをしているが、IL-86は定期便の専用機材になっている。
どこのエアラインかよく分からない、C-Airという会社の機体を購入し、ほとんどそのままの塗装で飛ばしていたAtlant-SoyuzのIL-76。現在の同社のホームページを見ると、ロシア国旗をベースにした塗装になっているようだ。


左:Jet Airways Ilyusin76TD RA-76807
右:MChS Rossii Ilyusin76TD RA-76841

この航空会社、名前はインドにある737を運行する航空会社と一緒だが、それとは別会社で、スイスのJet Aviationという会社が、ロシアのTyumen Airlinesからのリースした機体である。主に国連向けのチャーター機として飛んでいたようだ。その後、この機体はAviacon Zitotransという会社に移籍している。
右の写真はロシアの緊急事態省の保有機で、モスクワ、Zhukovsky空港をベースにしている。貨物機や哨戒機など、様々な種類の機体を保有しているロシア政府の一部機関である。


左:BSL Airlines Ilyusin76MD UR-76??? (Based SU colour)
右:Busol Airlines Ilyusin76MD UR-76??? (Full Colour)

  BSLはウクライナのキエフをベースに旅客便、貨物便を運行していたエアラインで、旅客型はツポレフ154が2機、一方でIL-76は6機、ほとんど貨物がメインだったようだ。設立は1993年だが、2000年の5月にはエアラインそのものが消滅してしまった。この写真のIL-76は軍用のMD型だが、見た目では全然分からない。さらにこの飛行機、空中給油機IL-78の改造だそうだ。
その後この会社もフルカラー機を導入している。ウクライナの国旗をベースにした塗装だが、なかなか垢抜けた塗装にはならないようだ。


左:Air Ukleine Ilyusin76MD UR-76??? (Based SU colour)
右:Sayakhat Ilyusin76TD UN-76442 (Full colour)

  エアウクライナ、この塗装はツポレフ154、ツポレフ134も紹介した。このページの写真は主にドイツとオランダ・マーストリヒトで撮影されたものが多いが、これもその1枚である。何とここも軍用型のIL-76を使用している。
Sayakhatはカザフスタン、アルマトイをベースにしている貨物、旅客便を運行している会社で、1989年の設立。この機材は92年に新造機で納入された新しい機体である。他に元中国西北航空、新疆航空のツポレフ154を保有している。


左:Uzbekistan Airlines Ilyusin76TD UK-76824 (Full colour)
右:Kazakhstan Airlines Ilyusin76TD UN-76345 (Full Colour)

  ウズベキスタン航空は名古屋に毎年夏になるとチャーター便を飛ばすことで有名だが、このイリューシン76も何度か日本にやってきた。不思議とウズベキスタンは日本路線開設の希望があるのか、旅客も貨物も積極的にチャーターを行っているようだ。国際線の旅客便はほとんどがボーイングとエアバスになったが、貨物は相変わらずイリューシンが頑張っている。
カザフスタン航空のフルカラー機は恐らくこのIL-76以外ほとんど見られていないのではないかと思う。それくらいこの水色のフルカラー機は飛んでこなかった。イリューシン86のところにタイトルと国旗だけ変えたIL-86を展示したが、その後エアカザフスタンとしてツポレフ154がこれと全く違う塗装を採用した。いまいちよく分からない(一度倒産したという噂もある)カザフスタン航空の塗装である。


左:Turkmenistan Akhal Air Ilyusin76TD EZ-F425 (Based SU colour)
右:Air Koryo Ilyusin76MD P-914 (Full colour)

  トルクメニスタン航空はどうも国内で3つくらいに分社化されてしまっているようだが、このAkhalがメインで、首都アシハバードを中心に飛んでいる。保有機は旧ソ連機以外にB737-300、B757を保有している。一時期737はトルコのエアアルファにリースしていたが、返却されたようだ。
北朝鮮のエアコリョは軍用型MDを3機保有しているが、名古屋では常連さんになってしまった。'98年のミサイル疑惑以降、2年間に渡って運行停止処分が2000年に撤回され、イリューシン76は再び日本にやってくるようになった。現在は騒音規制と核実験の経済制裁で再び乗り入れが禁止されている。


左:GATS Ilyusin76TD? 3C-KKF (Full colour)
右:Syrianair Ilyusin76M YK-ATC (Full Colour)

  GATS Airlines (Gulf Aviation Technology & Services)は、中東湾岸地域の貨物輸送をする小規模航空会社として設立されたようだが、この機体の国籍は赤道ギニア登録になっている。Airliners.netで検索すると、世界各地に神出鬼没していたようで、最終的にはキルギスタンに登録されている。会社の素性など、未だによく分からない。
シリア航空のIL-76は軍用型のM型で、実際シリア空軍の輸送機として使用されている。ただし塗装はシリア航空のものである。


Trans Avia Export Ilyusin76MD EW-76848 (Based SU colour)

  Trans Avia Exportはベラルーシのエアラインで、このイリューシン76MDのみを保有し、貨物輸送を行っているエアライン。





左:Metro Cargo Ilyusin76MD CCCP-76793 (Full colour)
右:Metro Cargo Ilyusin76TD CCCP-76481 (Based SU Colour)

  ここからは西側で活躍する(した)IL-76を紹介する。メトロカーゴはスイスとソ連(当時)の合弁会社で、スイス、チューリヒを中心に貨物便輸送を行っていた。しかしすぐにこの会社、なくなってしまった。


左:Metro Cargo Ilyusin76TD CCCP-76522 (Based SU colour, no tail)
右:Heavy Lift Ilyusin76TD CCCP-76758 (Full Colour)

  メトロカーゴの末期の姿。尾翼に国旗も入っていないし、メトロのロゴも入っていない。このままこの会社は消えてしまったようだ。
Heavy Liftは英国の大型貨物輸送航空会社で、ロシアのボルガ・ドニエプル航空とも提携していたので、Heavy-Lift Volga-Dneprという妙ちくりんな航空会社(本社は英国)まで設立していた。アントノフ124の輸送力は当該ページに書いたが、路面電車くらいはやすやすと運べてしまうだけの力があるので、西側でも必要となるのである。
このイリューシン76は1992年からHeavy Liftのフリートに加わり、1995年にはさらに1機増えた。機材はボルガ・ドニエプルからのリース機である。西側の、それも古くからある航空会社のフルカラーになるケースは非常に稀であった。
しかし、その後ヘビーリフトとボルガ・ドニエプルの提携は解消されてしまい、この塗装のIL-76も姿を消してしまった。現時点で西側のエアライン塗装をまとったことのある、数少ない旧ソ連機の1機であろう。




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